プロジェクト更新情報

2014年9月

多くの建築家の参加と力強い支援を頂いたサイクロンシェルター設計競技(コンペ)は、最優秀案を選出した後、最優秀案の実現に向けて建設資金の募金を続けてきましたが、現在、まだ募金目標額に達していません。

しかし、現地ではサイクロンシェルターの建設を心待ちにしている人たちの期待に一刻も早く応えるために、建物の予定面積を半減してでも、建設に着手したいとの思いで、建築家、前田茂樹氏に一期工事としての実施設計を依頼しました。

当初シェルターは平時には学校として使用されることを想定していましたが、この地域で改善が望まれる「母子の健康促進」事業として、国際ロータリークラブからその活動に対して一部助成を受けられることになりました。

建設資金は、日本、台湾、そしてバングラデシュのロータリークラブが一部を負担していただけることになり、サイクロンシェルター兼地域医療センターとして建設を進めることになります。

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現地調査・プレゼンテーション

バングラデシュ・サイクロンシェルター国際設計競技で最優秀案に選ばれた作品と、受賞者の建築家、前田茂樹氏のプロフィールを紹介します。

無題

前田茂樹氏(中央)、ランガバリへ向かう船上で

1998年大阪大学工学部建築工学科卒業後、
同年東京藝術大学大学院建築専攻に進学。
2000年、ドミニク・ペロー建築設計事務所入所。
バルセロナやミラノのホテル、大阪富国生命ビルなどを担当。
2008年、前田茂樹建築設計事務所設立
2010年、日本に帰国し、ジオグラフィック・デザイン・ラボを共同設立。
大阪工業大学 建築学科専任講師を務める。
2014年、同学科 准教授。

 一次入選案から現地視察を経て- (制作)ジオグラフィック・デザイン・ラボ+永易直樹 [NGYS.JP]

http://www.youtube.com/watch?v=OOZR6bd_mlQ&feature=youtu.be

昨年の7月末に最終審査(第2次審査)結果を発表し、続いて9月には最優秀賞受賞者の表彰をし、バングラデシュ・サイクロンシェルター国際設計競技は終了しました。このコンペ案を基本設計案としてシェルター建設に向け、実施設計業務を設計者である前田氏に委託することになっています。しかし、現時点で建設に必要な十分な建設資金がまだ確保されていません。資金調達のために、このコンペ案をサイクロン被災地域に是非建設したいと熱い思いを寄せるボランティアと、設計者である前田氏、そして国際NGO・SCIのバングラデシュ支部や日本支部のメンバーが、外部団体の助成金申請や企業、個人からの寄付を募ろうと奮闘しているところです。

 

コンペの要項では主要構造の材料の指定しはていませんでしたが、RC造(鉄筋コンクリート)を想定した建設予定額では募金の目標額達成が難しいので、代案として経済的な材料、かつ地域住民も建設に参加し易いと思われる竹構造が代案として検討されました。しかし、コンペの最優秀案を実施案とすることが目的であり、また、避難施設としての安全性を確保するうえで、バングラデシュの建築基準法に従うと、サイクロンシェルターはRC造とせざるを得ないことが判明しました。そこで改めて建設資金の確保のために高いハードルを越えなければならない必要に迫られています。

 

一方、2011年12月に前田氏とバングラデシュにサイクロンシェルターの建設を支援するボランティア達が、建設地のあるランガバリを訪れ、地縄を張り建物の輪郭を実際の敷地にプロットし、建物の位置を確認しました。また、集まってもらった5、60人の近隣地域住民に対して、前田氏が用意した模型を使ってプレゼンテーションを行いました。

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地縄張り作業

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プレゼンテーションに集まった人々

この現地訪問で得た情報をもとに、建物の日常の機能として地域医療施設として維持運営することが改めて確認されました。ランガバリはバングラデシュの最南端に位置し、最寄りの医療施設はランガバリから約40Km 離れたところにあり、現地調査で医療施設が最も必要とされていることが確認されています。最寄りの医療施設に行く交通手段は船で、6、7時間かかります。多くの住民が種々の全身的な病気に罹っています。彼らは健康に関して基本的な注意や、衛生教育を受けていません。地域にはバングラデシュ政府のクリニックがありますが、現状ではそれが開業していると確認を得ることが出来ませんでした。従ってランガバリ及びその周辺の住民、凡そ85,00人は、基本的な健康診断や診療を受ける権利が無視されてきました。この地域医療センターが出来ると、ゴラチバ郡のランガバリ、チョトビアシダ、及びバラビシダに住む凡そ85,000人がこの医療センターにより直接的に恩恵を受けると期待されています。

2007年のSIDR(巨大サイクロン)の被災から4年、SCIがランガバリにサイクロンシェルターを建てる事を決定してから2年が経ちますが、遅々とした歩みがやっと具体的になりつつあることを住民も実感し、住民の表情にも、着工・竣工を待ち望む期待が感じ取れます。

建設資金の募金のために、このウェブサイトを訪れていただいた皆様のご協力を引き続きお願いいたします。

SCIバングラデシュ

SCI ジャパン

 

 

最終選考結果報告

審査委員長
パラッグ・シャリフザマン (バングラデシュ)

バングラデシュ、ランガバリに建設を目的とした「多目的サイクロンシェルターの国際設計競技」の最終選考(2次審査)結果をここに発表いたします。 (最終案はこちらから)

5つの作品はどれも優れた作品で、審査員全員、全ての作品を実現させたいという思いでしたが、競技設計のルールに従って、1つの作品を選出しました。

審査の方法
5チームによる作品はそれぞれの設計説明書と共に5人の審査員に送られ、1回目の審査を個別に行いました。1回目の評価の後、審査員は夫々の審査評価、意見をメール上で交換し、最終の講評と採点が提出されました。以下がその結果です。

登録番号    採点集計    順位
005        22       1位
033        14       3位
038        17       2位
042         9       5位
101*       11       4位
*学生参加

このささやかなメッセージは、バングラデシュの沿岸地域でサイクロンによって被災した人々に多くの支援と安心を与えることを期待して行われた、多目的サイクロンシェルーの国際設計競技で、最終選考に参加した建築家、及び審査員の暖かな貢献に対して感謝の気持ちを伝えるものです。私たちは、皆さんの暖かな支援が、サイクロンで被災した人々の生活に勇気を与えてゆくものと確信しています。

深い感謝の意を込めて

SCIバングラデシュ支部
事務局長(当時) 現会長

 

最終設計案選考中

第1次審査で選出された5人の設計チームから、サイクロンシェルターの最終設計提案が提出されました。 デザインは、現地の要件を満たすように現地視察を経て修正され、さらに発展されています。

5人の陪審員〈故タジュ・チョードリー氏の後任として、ライルン・ナハール・エクラム女史が審査に参加します〉は、現在、提出された設計図書を審査しています。

プレリミナリーデザイン受賞者(最優秀賞)の発表は7月末に行なう予定です。

 

現地視察無事終了

第1次審査に選考された建築家と建築学生による現地視察は3月20日から27日に実施されました。参加した建築家たちは、SCIバングラデシュ支部の、よく計画された準備と暖かい友情に、大きな感謝の意を表していました。現地での人たちとの出会いと、敷地のもつコンテクストは建築家たちにとって深い印象を与えたようです。最終案は5月末日までに提出され、7月までには最優秀デザイナーが確定されます。

写真を見るには ここをクリック
(更新 2011.04.19)

第1次審査結果発表

第1次審査の結果、応募作品36点の中から、次の5名(5チーム)のコンセプトデザインが入選しました。
入選案、及び全参加作品はこちらからご覧ください。

登録番号順  005   前田茂樹
033   LINDSAY BREMNER
038   MARK SCHLEINTZ
042   PAUL MIKATOA
101   田中克茂
(建築学生) ※
この5人(5チームから一人ずつ)は、3月19日から27日までバングラデシュに入り、現地ランガバリで現地の人たちから聞き取りなどを行い、現地事情を確認します。また地域を管轄する行政庁で、実際の建設に必要となる設計要件などを確認し、最終案(基本設計)に反映させ、5月末日までに提出することになります。
※ 結果的に学生資格の提出が合計4点 で、4点中2点を選出すると、一般作品32点中、残り枠3点に制限することになり、出来るだけ公平な機会を確保するために、第一次審 査では、一般参加作品4点、学生参加作品1点を選出いたしました。

応募作品提出締め切り

1月15日に応募作品提出を締め切り、合計36件の設計作品を受領しました。

応募作品を提出いただいた設計者の皆様にお礼申し上げます。

受領した作品はどれも、それぞれに、サイクロン襲来時にどのように住民を安全に避難させるか、平常時にはいかに快適な空間を、教室として、集会施設として、或いはクリニックとして、提供するか等、またいかに環境に配慮した建物を実現するか等、思い思いの提案が読み取れます。

2月上旬の入選発表と、作品の公開をお楽しみに。

参加登録締め切りのお知らせ

参加登録結果報告

バングラデシュ・サイクロンシェルター国際設計競技の参加登録受付は11月10日に締め切りました。参加登録状況は次のとおりです。

参加登録総数                      68 エントリー
登録者国籍/登録地別       17 カ国
参加メンバー総数               162 人

コンペ主催者、企画者の呼びかけにこれだけ多くの皆さんが、まさに世界中から応えていただいたことに、主催者として大変勇気付けられ、深く感謝いたします。

今後、引続きコンペの審査結果、最優秀案の建設実施、完成まで、プロジェクトの進捗をこのサイトで公開いたしますので、皆様のご支援をお願いいたします。

設計競技募集要項

1.本設計競技の名称:

バングラデシュ・サイクロンシェルター国際設計競技

2.登録:

設計競技参加希望者は、登録フォーム(Registration Form) に必要事項を記入し、メッセージボックスに、「バングラデシュ・サイクロン
シェルター国際設計競技」と明記し、2010年11月10日(変更)までにコンペ事務局・アトリエパックスに送信してください。

建築学生の参加

建築学生の参加申し込みは、登録時に学生資格の参加登録を受け付けます。学生資格  の参加は一般と同じ参加要件が適用
され、設計条件の他、提出図書も一般建築家と同様の条件になります。

学生は個人として参加登録するか、又は学校のゼミ単位のグループとして参加登録することも出来ます。

登録確認後、登録番号をメールでお送りします。以後、質疑応答、提出図面等には必ず登録番号をのみを表示してください。

3.予定スケジュール:

第1部 国際設計競技

参加登録受付け開始
2010年9月20日

参加登録締め切り
2010年11月10日             登録者には登録番号を通知する。

質疑応答
質疑受付締め切り              2010年11月20日(変更)
回答発表                             2010年11月30日(変更)までにインターネット上で公表

1次審査(コンセプト作品)受付締め切り
2011年1月15日

1次審査
2011年1月下旬
審査結果、及び入選者5名(入選作品5点)を後日(2月上旬インターネット上で公表。
入選作品5点のうち、少なくとも2点は学生資格参加登録による作品から選考する。

1次入選者による現地視察
2011年3月下旬 現地滞在1週間程度、コンペ主催者が費用負担。

2次審査(プレリミナリー作品)受付締め切り
2011年5月31日

2次審査
2011年6月中旬

審査結果、及び最終入賞者1名(最優秀作品1点)を2011年7月末までにインターネット上で公表。

 

第2部 シェルターの建設(以降は予定)

2011年9月、最終入賞者はバングラデシュ建築家(事務所)と実施設計開始

2011年10月、   実施設計完了

2011年12月、 施工業者選定

2012年 1月、  着工

2013年3月、   竣工

4.設計条件:

計画敷地位置:     バングラデシュ、ポトアカリ県、ランガバリ (敷地位置図を参照

敷地:                     全敷地面積                         3,600m
使用可能敷地面積             2,000m

建物用途:             サイクロン災害時               避難所
平常時                                多目的用途(学校、巡回診療所、集会所)

所要床面積:         680m(+/-10%)
ピロティー(設計にある場合)は床面積に算入する。
開放廊下(設計にある場合)は床面積に算入する。

所要室:                避難室/教室(必要に応じ数室:2~4室)
階段又は階段室(必要に応じ)
便所/洗面所(非水洗)
その他必要に応じ

構造材料/方式: 特に指定はないが、RC(鉄筋コンクリート)構造を推奨。

建築設備:            電気、上水道の設備はないが、将来公共電力、又はソーラーシステムにより電気を引き込む可能性がある。
汚水は浄化槽を併設して処理する。

特記事項:
1) 現地の特殊要件については、設計者が現地視察時に確認すること。
2)  建築工事予定価格は12,560,000-Tk(タカ)で、給水井戸、浄化槽を含む。設計者は予算を超えるサイクロンシェルター設計して
はならない。もし最優秀作品の設計が予算を超える場合には、工事見積額が予算内に収まるように設計を修正すること。

5.提出設計図書: (プレリミナリーデザイン提出用に更新されました)

図面サイズ            A-2(594mm x 420mm)

所要図面(図面上のすべての表記は英語とし、単位はメートル法による)

配置計画図        縮尺1/400、

各階平面図        縮尺1/200 又はそれ以上

立面図(2面以上)    縮尺1/200 又はそれ以上

断面図(2面以上)      縮尺1/200 又はそれ以上
構造が分かるように表現すること
標準矩計図 (1面以上)  縮尺1/40 又はそれ以上
仕上と同様に、構造の一部が表現されること
外観パース(1面以上)
外部、内部仕上表    外部は代表的部位についてのみ
内部は避難室(教室/集会室/クリニック)についてのみ
構造概要          構造方式、及び構造材料を記述する

設計趣旨、設計コンセプト(表現方法は自由)

レポート        設計者は、現地確認で得た情報を反映させるために最終設計に変更、修正がある場合には、その理由を説明するこ
と。レポートはA-4サイズで5枚以内とし、提出図書の一部として添付すること。

特記事項      設計者は、建築工事の一部、又は全部が、有資格者の監理の下、ボランティアにより行なわれることが可能となるよ
うなことも考慮し、提出図書の中で、どのように現地の一般的な工法を取り入れるか記述すること。

図書の提出方法    設計図書はCADファイル、ドキュメントファイル等で作成したものをPDFファイルに変換し、E-メールに添付し、
atelier PAX kaneie.toyoda@sci-japan.org にお送りください。

6.賞:

コンセプトデザイン入賞者            5名         プロジェクトまでの往復旅費、及び現地滞在費

プレリミナリーデザイン入賞者          1名            ¥300,000-(コンセプトデザイン入賞者の中から2次審査により1点を最優秀賞とする)

7.審査員:  (一部変更)

昨年秋から病院で治療を受けていた、審査員の一人であったタジュ・チョウドリー氏は、3月に、亡くなりました。ここに皆様にご報告すると共に、哀悼の意を表したいと思います。

故タジュ・チョウドリー氏の後任として、同じバングラデシュからライルン・ナハール・エクラム女史を新審査員としてご紹介いたします。

ライルン・ナハール・エクラム: バングラデシュ、ダッカ
建築家

 

ロッド・ヘンミ: アメリカ、カリフォルニア
建築家

 

リサ・フィンドレー: アメリカ、カリフォルニア
建築学教授

 

亀田広志: 日本、東京
建築家

 

パラグ・シャリフザマン: バングラデシュ、マイメンシン
審査委員長